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●第2位 |
より革命的な変化に、私は魅了され続けてきた。
自分でもなぜだかわからない。
なぜなら、それを選べば、もっと困難になってしまうからだ。
より多くのストレスを心にかかえこむことになる。
みんなに、おまえは完全に失敗した、
と言われる時期もおそらくあるだろう。── スティーブ・ジョブズ |
I've always been attracted to the more revolutionary changes. I don't know why. Because they're harder. They're much more stressful emotionally. And you usually go through a period where everybody tells you that you've completely failed.
──Steve Jobs |
起業して会社を立ち上げた、あるいは企業で日々挑戦をしている人には、アントレプレナーシップ(起業家精神)をもって疾走するとはこういうことかと実感できる言葉だと思います。
自分はどういうわけだか、常に難しいほうへ難しいほうへと挑戦を重ねてきた、より革命的な変化に惹かれつづけてきた。すると必ず心に多くのストレスを抱え込む。周囲からは「おまえは間違っている」「だからおまえは失敗するんだ」と言われる。
でも、せっかくこの世界に生まれてきたからには、自分の仕事を成し遂げたい。ルーティンの仕事では本当のところ心の中は満たされないから。
より良く生きたいと思っている人たちは、みな真剣に悩むものです。「自分がやらない限り世に起こらないこと」をやりたいと。その葛藤には簡単に答えがでないけれど、魅入られたように取り組むとき必ず道は開けてくる。時間はかかるけれどねと。人生とはそういうものなんだと勇気づけられる言葉です。
起業したけれどなかなかブレイクスルーのタイミングが生まれないと悩むような人たちが、この言葉に出会って力が湧いたという感想をいくつも目にしました。 |
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●第1位 |
さて、最後に取り上げる僕のベスト1はこの言葉です。
「全く見ず知らずの人間でも信頼できる」ということを、
eベイは一億二千万人もの人たちにわからせたのだ。── ピエール・オミディア |
eBay has taught a hundred and twenty million people that they can trust a complete stranger.──Pierre Omidyar |
1995年にeBayを創業したピエール・オミディアが自分の事業を振り返って誇らしげに語った言葉です。eBayはオークションサイトの先駆けです。
ユーザーはオークションサイトを通じて、世界中でまったく見ず知らずの人とプライべートなモノを売り買いするわけです。1億二千万人もの人々がお互いを信頼してモノの売り買いしている。
eBayは、人類の歴史において過去に起こらなかったことを成し遂げたと、オミディアは言うわけです。
僕はこの言葉を目の前で聞いたとき、しびれるような感動におそわれました。自分たちの成した事業というものを、そういう明るい突き抜けたものの見方でとらえることができるんだと。自分が達成したことに関して、こういうことを言っていいんだと胸を衝かれたのです。
事業にしろ、仕事の成果にしろ、日本では謙譲の美徳という文化が強い。私のやったことなんて別にたいしたことないじゃないと。でも、客観的にみてたいしたことをしている人がけっこういる。
己の仕事を、事業というものを、こうやって明るく突き抜けた言葉にして表現したときに、それがまた新しい創造性を生み出す。若い人たちを真に鼓舞する力ともなる。
その象徴的な言葉として、僕はこれをベスト1に選びました。 |
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ここまで、僕のベスト10をざっとご紹介してきました。みなさんのベストと照らし合わせて、いかがでしたでしょうか。
講演を締めくくるにあたって、最後にひとつだけお願いがあります。
僕はたくさんの感想を読んできましたが、最近10代の方のこんなブログを目にしました。「いやーこの本は最高に面白かったと」熱い感想が書いてあった最後、「さあ、ブックオフに売りに行こう」と書いてある。
(会場大爆笑)
若い人の、モノをなるべく手元に置かないカルチャーですね。
僕はなるべく若い人の流儀を理解しようとしていますから、いつもはそれにケンカを売ることはしないのですが、この本に限っては、読み終わってもぜひ手放さないでほしいと思います。ブックオフには持っていかないでほしい(笑)。売ったって二束三文にしかならないんだろうし。
この本は手元に置いて、何年かに一度でもぜひ開いてほしい。そのときどきのベスト10を選んでみてください。まったく違った言葉を選んでいる新しい自分を発見するはずです。
そのときのあなたを映し出す鏡となり、そのときどきに勇気を与えてくれると思います。
そんな座右の一冊としてこの本を長く使っていただけたら、大変嬉しく思います。
今日はありがとうございました。 |
【2008年3月15日八重洲ブックセンターにて】 |
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