本書の取材は2010年度採用が終わったばかりの時期に行われた。数千人、数万人を、数十人、数百人に絞り込む作業をしてきた直後だ。
まだ熱が冷めやらぬ時期に、あえて企業秘密ともいうべき話を聞かせていただいた。「それは通常お答えしていないんです」というリアクションもしばしばだったが、手を替え品を替え、彼らの本音に迫った。(「はじめに」より)
学生さんの過去の行動事実を掘り下げ、ブレを無くすよう努めています。各段階ごとに違う観点から質問していくと、整合性、信憑性の問題が出てくる。マニュアル通りの準備で対応できなくなると、オロオロする学生さんもいます。
内々定まで4回面談する学生もいれば、8回という学生もいます。本音ベースで話すことにより、お互いが本当に納得して決めることが必要。企業から見れば「採用」、学生からは「就職」。対等な立場のお見合いだと思う。
彼は説明会で最後の一人になるまで質問を重ねてくる学生でした。言葉は拙く、器用ではないが、芯の強さ、何かをやり遂げる可能性を感じました。最初は苦労するかもしれないが、いずれはよき管理職になる。見込みは当たりました。
今のタケダは、本当に欲しいと思う人材を獲得するためなら労はいといません。日本での採用を強化する一方で、グローバルに活躍できる人も貪欲に求めていく。ただし、江戸時代以来の「コツコツ真面目に」というタケダイズムは不変です。
学生時代に何に熱心だったかという点について、どうして、どんなところにどう工夫したかと、どんどん深掘りすることで、学生がいかに本気だったかが浮かびあがる。実体験に基づく話というのは、どこまで掘っても具体的なものです。
自分で言うのもなんですが、確かに個性的な人を採っていると思います。学生時代、秋葉原でメイド美容室を経営していたという社員もいます。クリエイティビティがあり、ビジネスをやろうという考えがはっきりしていた。