文春新書
なぜリスクをとるリーダーが出ないのか
なぜ日本にはカエサルのようなリーダーが現れないのか――二千年に及ぶローマ帝国、そして中世ルネサンス期の栄華と衰退を知り尽くした著者だから語れる、危機の時代を生きるためのヒント。月刊「文藝春秋」の看板連載がついに新書化。
亡国の悲劇とは、人材が欠乏するから起るのではなく、人材はいてもそれを使いこなすメカニズムが機能しなくなるから起るのだ(本文 P26)
政治とは、感性に訴えて獲得した票数、つまり権力を、理性に基づいて行使していくものだからである。(本文P78)
改革とは所詮、腹を決めてルビコンを渡ることであり、しかもその後も、首相が代わったぐらいでは引き返せないところまで一気に突走ってはじめて、ヤッタ、と言えることではないだろうか。(本文P137)
危機を打開するには、何をどうやるか、よりも、何をどう一貫してやりつづけるか、のほうが重要です。(本文P187)
もしも外国人の誰かがこの日本の歴史を書くとしたら、個々の分野では才能のある人に恵まれながらそれを全体として活かすことを知らなかった民族、と書くのではないだろうか。(本文P227)
1937年7月、東京生まれ。
学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに遊学。68年から執筆活動を開始。70年、『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』で毎日出版文化賞を受賞。この年よりイタリアに在住。81年、『海の都の物語』でサントリー学芸賞。82年、菊池寛賞。88年、『わが友マキアヴェッリ』で女流文学賞。99年、司馬遼太郎賞。2002年にはイタリア政府より国家功労勲章を授与される。07年、文化功労者に。『ローマ人の物語』は06年に全15巻が完結。『ルネサンスの女たち』『ローマ人への20の質問』『ローマ亡き後の地中海世界』など著書多数。