「ボーナストラックのようなページを作りたいんです!」という依頼を担当編集者さんから受けた。

 聞くところによると、文藝春秋のホームページで『ラブホテル進化論』が2008年2月の文春刊行物中、アクセスランキング5位、立ち読みランキング6位だったそうだ! 立ち読みできるページがあることも知らなかった私は驚き、早速自分の本をネット上で立ち読みしてみた
(まあ正確にはパソコンの前で座っているのだけど)

「へー! この頃はわら半紙で広告を作ってたんだ!」

 自分で書いた文章なのに、文春のホームページ上で読むとなんか新鮮な感じがする。自分の子どもが親の手を離れて巣立っていくような気持ちになった
(再び出版できた喜びに感動)

 ということで、読んでくれる人がいるならボーナストラックでも何でも作りましょう! 私は嬉し涙を拭いて立ち上がった! ここでは、【写真でみるラブホテルの進化】ということで、選び抜いた秘蔵写真(?)を公開しようと思う。
 写真1は、後に郊外型ラブホテルに変わっていく初期のモーテル(1966年オープン)である。一軒一軒が離れになっていて、車を停めて中へ入るという作りになっていた。まるで親戚の家のようだが、ここに当時の若者はマイカーに乗ってじゃんじゃん来たという。唯一ラブホテルを感じさせるシグナルは、左端に光る「空 お部屋にどうぞ」という看板。これが光っていると空室という意味だった。

 この頃は休憩時間の区切りもなく、昼に来て休憩して帰るか、夜に来て泊まっていくかという大変アバウトな時間設定だった。延長料金が1分単位でつくホテルもある今からは考えられない話だ。
 打って変わって写真2は、関西で大人気のお城型ホテルである。1973年に東京で古城のような外観をした“目黒エンペラー”というホテルがオープンし、大ブームを巻き起こす。これをきっかけに日本全国にお城がぼんぼん建った。

 想像してみてください。のどかな田園にお城がぼん!ネオンきらめく繁華街にお城がぼん! なんて面白い風景だろう。ラブホテルは色んな意味でツッコミどころ満載だ。

 で、
写真2がまっピンクのお城ラブホテル。東京のシックな古城は、関西のデザイナーの手にかかるとまっピンクになる。パー子も大喜びの派手さである。実はここのホテル、1994年にオープンした時、前の国道に渋滞ができたという伝説を持つ。南国をイメージしたまっピンクのお城なんて、世界中どこを探しても日本にしかないだろう。わずか20年ほどで、親戚の家はお城に大変身したというわけである。
 部屋の中も随分と進化する。連れ込み旅館という言葉が残っていた1960年代、部屋は和室が中心だった。寝室は勿論布団が敷いてある(写真3)。一見旅館の一室のようだが、布団の横にはなぜか鏡が?!
 ラブホテルがデラックス化を迎えた1970年代、布団はベッドに変わり、突然ぐるぐる回りだす(代表例:ルーレット型回転ベッド・写真4)。そして、ベッド横には謎のボタンが!(写真5)わずか10年の間に寝室に何が起こったのか!! 鏡やベッドの秘密は本書でのお楽しみ!!
 それでは、現在のラブホテルはどうなっているのか。まず、写真6を見て欲しい。これは先ほどのラブホテルがデラックス化を迎えた時代の「女の子の喜びそうな部屋」である。この頃は、すべてが男性主体だったので、ラブホテルは“男性の考える女の子が喜びそうなもの”で溢れていた。しかし、実際の女の子が求めていたものは、こんなにあからさまな王室のような部屋だったのだろうか?
 次に写真7を見てみよう。これは現在、女の子に大人気のホテルの一室である。女の子が本当に求めていたもののヒントがこの部屋には隠されている!
 結局謎だらけのボーナストラックになってしまった。
 謎を解く鍵は『ラブホテル進化論』に!!
 私から巣立った子どもが、あなたに「面白い!」を運んでくれますように。